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zoom RSS 「秦王、あなたも一曲、歌ってくれ!」(司馬遷「史記」)−中国と日本外交の目指す物

<<   作成日時 : 2012/08/23 22:35   >>

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平和の祭典であるオリンピックが閉幕した途端
わが国は、領土問題で韓国、あるいは中国からの
攻勢を受けることになった。

竹島への韓国大統領の上陸
尖閣諸島への中国抗議団の上陸

尖閣諸島に上陸した中国の抗議団については
自衛艦に、はなはだしい損傷を受けながら
結局、裁判をせず、強制送還した。

彼の地のテレビ局では、
英雄として扱われる抗議団の姿を
大々的に報じていた

其の翌日、今度は日本人の市会議員と
いった方々が島に上陸して日本国旗を掲げた

すかさず中国側が猛烈な抗議を始める

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

韓国の行動はともかく、
中国側の尖閣諸島への発言と行動は
以前からの戦犯問題、靖国問題
教科書問題など、かつて江沢民が提唱した
日本の外交には、
歴史問題をぶつけてゆくのが基本だ

という路線を踏襲したものだが、

しだいにその批判が、
他国への抗議というよりも、
大国による近隣の小国への恫喝
といった中国古代の専王を思わせるような
容赦のないものになってきている。

中国は、日本に限らず、フィリピン、ベトナム
といった南シナ海の国に対しても
同様の問題を起こしており、
その手法は、
とても21世紀を迎えた現代には
考えられないような、居丈高なものである。

こういった流れに対してマスコミは
「もっと冷静になりながら
主張を繰り返してゆくべきだ」
という論調に終始するが、

一方では、かの国の反応も
それなりにパターン化している所もあって
わが国も、様々な戦略を駆使して、
これと対峙することも可能であると考えるが

ただ日本が行ってきたこれまでの
相手をできるだけ刺激をしない
他国の様子をみながら、態度を決定してゆく
といったいわば、「ことなかれ主義」的な
外交手法は、見直しを迫られているのは間違いない

これからの日本の外交は、
中国のように、古代の専横国家のように
近隣諸国に、迫ってくる国に対して
一歩も引かず、毅然としてかつ冷静に
対応することが必要になってきたわけだが、

外交の本来の姿と言うのは
(特にユーラシア大陸においては)

とにもかくにも、言いたいことを言い
相互に刺激しあい、
たとえ無理難題でも、とにかく言ってみる
その結果、通ればそれでOKだし
通らなくても、失う物は何もない」


というのが、一般的な姿で

こういう状況にあって、
日本もようやく、本来の外交体制を
引く状況に立ち至った時代を迎えたことは
プラスにこそなれ、それこそ
失う物は何もないと考えるものであるが

それがはたして、どのようなものであるのか
かの国の古代の故事にその範がある

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

史記列伝〈1〉 (中公クラシックス)
中央公論新社
司馬 遷


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紀元前200年頃、
当時、中国で大国といて君臨していた秦、
そして、その周辺の小国のひとつに、
趙という国があった。

趙の恵文王のときのこと
楚の和氏の物で極めて高名な
宝玉を手に入れた

この話を聞いた秦の昭王は、
趙に使者を送って王に告げた
秦の15の都市を差し上げるから
くだんの宝玉を譲っていただきたし


趙の王と側近達は頭を痛めた
宝玉を与えても秦が約束を守る保証はない
かといってこの申し入れを断れば
秦は、それを口実に攻め込んでくる恐れもある
さてさてどうしたものか?

そのとき、ある側近が言った
「わが待従の藺相如(りんしょうじょ)
使者として遣わしましょう。
勇気と智謀をもった忠実な部下です」

王はその言葉を受け入れて、
宝玉を持たせて藺相如を秦に使わした

藺相如が秦の昭王に謁見して宝玉を差し出すと
王は相好を崩して腰元や部下達に見せびらかし
側近達は万歳を叫んで喜んだ
相如はこの様子をみていて、
王が都市を趙に与える気はさらさらないと察して

「宝玉をちょっと貸してください。
一箇所、傷がありますので」

といって宝玉を受け取ると
すかさずあとずさりし、
鉄柱に宝玉をかかげて
激怒した様子で王に食ってかかる

「わが国では、秦が果たして
約束を守るかどうか怪しいとして
臣下が反対したのを
恵文王が、秦の王に限って
そんなことはないと説得して
こうして参上したにもかかわらず

昭王には、城と交換する意はないと拝見した
かくなる上は、それがしの頭とともに
この宝玉を柱で叩き割りますぞ!」

これを見た昭王は驚き、彼をなだめて
城を渡す約束をしたが、
示された都市を王が渡すはずはないと見てとると

「5日間の沐浴で身を清められた後に
これをお渡しいたします」
と語り、王の提供した宿に下がった
其の夜、相如は部下の一人に貧しい服装をさせ
宝玉を持たせ、闇にまぎれて国に帰らせた

さて5日がすぎて、昭王の前に出た相如は
「宝玉は、国に戻しました。
秦は強大な国であり、趙の王は決して
秦を裏切ることはいたしません。

そこでまず最初に、15の城を
趙に与えていただきたい。
さすれば趙は、必ずや宝玉をお渡しいたします
これが受け入れられないのであれば、
今すぐ、それがしを釜ゆでの刑にでもしていただきたし


居並ぶ家臣達は激怒し、
さっそく相如を引き立てようとしたが、
王は彼の勇気に感心し、また宝玉程度のことで
いさかいをしても仕方がないと考えて
丁重に彼をもてなし、帰国させた

恵文王は、波風をたてることなく、
宝玉を渡さなかった相如の知恵に驚嘆したものだった

その数年後、秦は趙を攻めて石城を陥れた

このとき、秦王は、趙王に使者を出し、
黄河の川渕で会見したい旨を伝えた
趙王は、宝玉の件で功労のあった
相如を連れて会見に臨んだ

酒宴たけなわのころ、
秦王はころあいを見て趙を辱めようと考え
恵文王に言った

余は、趙王が音曲を好むと聞いておる
一曲、奏していただけぬか?」

そこで恵文王が琴で一曲、演奏した

すると秦の書記官が進み出て
秦王は、会見の席上、趙王に琴を演奏させた
と記録し、その旨を公表した。

これを聞いた相如は、とっくりを持って
秦王の前に進み出ると
秦王は、秦の民謡を好むと聞いております。
このとっくりを拍子に使って
一曲、歌っていただけませんか
?」

この言葉に王は激怒し、
いならぶ臣下は怒声を発した。
すると、相如の相好は一変し
鬼の如くとなり、臣下達を睨み付け
「静かにしろ!」
天が震えるような大声で一喝すると
臣下達はみな、たじろいだ。

王は恐れをなしてとっくりを受け取って
一曲、歌った。

相如はすかさず、秦の記録係を呼ぶと
秦の王は、趙のために一曲、とっくりを叩いた
と書かせた。
趙王に侮辱を与えようとした秦の思惑は
かくして見事に外れてしまった

記録によれば、この会見後、
相如は、王の信頼を得て、
上級公卿に任ぜられたとある
        (司馬遷「史記」:藺相如伝)

「戦国策」あるいは「三国志」などの
中国の古典には兵法において
優れた物が多く、
様々な示唆を与えてくれるが、

「真の智謀の根幹にあるのは
真の勇気である」
ということを痛感させられるものであるが、
言い換えれば、

真の外交の根幹にある物は
真の勇気である


ということである



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2013/07/06 04:35

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
面白いですね。一見小国は大国に勝てない、というのが一般論でも、真の勇気があれば、逆転もありうる、ということに勇気をもらえます。
三国志などでも驚くような秘策の話が良く出てきますよね。
k1sh
2012/08/28 23:01

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