人生は999ラウンド

アクセスカウンタ

zoom RSS 「ねずみ色のベルトはねずみを引き寄せる」−「ねずみ色のベルト」(E・B・ホワイト)

<<   作成日時 : 2011/01/19 23:28   >>

面白い ブログ気持玉 10 / トラックバック 0 / コメント 0

最近、ミュンヒハウゼン症候群
という言葉をよく聞く
自分、あるいは家族が
大病であるかのように装い、
大騒ぎをして
自分に注目を惹き付けたい
という精神症として

ほら吹き男爵の異名を持つ
実在したドイツの男爵の名が
冠せられているわけだが、

作家ビュルガーが書き残した
彼に関する逸話は、
1年のほとんどを諸国を
旅して回った男爵が

たまに帰った自宅で
知人達に語った
ほら話を記録したものである

この記録が今日まで生き残っているのは
その奔放な想像力とファンタジーの
独創性にある

彼が見聞したトルコ戦争で
味方の放った大砲の弾に乗って
敵地を視察し、
敵から放たれた砲弾に
飛び乗って帰ってくるとか

月から地上に戻るときに、
一本のロープを
何度も折り返して
それにつたわって
降りてくるなどという発想は、

そう簡単に考えられる
ものではない。

豪放で陽気な男爵は
しかし、その晩年に
自分の娘くらいの女性と
結婚したものの
これが完全な
財産目当てのもので、

死にいたるまで
孤独でみじめなな生活を
よぎなくさせられたという
記録が残っている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現代のほら話の傑作
「ネズミ色のベルト」

ある初老の男が
ベルトが古くなったので
会社の帰り、洋服店で
新品を購入しようとする

店員は、男のルックスと身なりから
これが絶対に似合うからと言って
ネズミ色のベルトを勧める

男は言われるままに
それを締めて帰宅する

妻がそれを見て大笑いする

「いい年をしてネズミ色ですって!」
「いや、斬新すぎるかね?」
あなた、そんな色のベルトをすると
ネズミを引きよせますよ。」


「・・いや、ネズミ色というより
これは、むしろ軍艦の色に
近いような気がするんだが。」

それじゃあ、軍艦を
引き寄せますよ。」


そういってふたたび妻は
大笑いする

翌朝、男が家を出ると
どこからか一匹のネズミが
やってきて彼の後を付いてくる

そのうち、2,3匹の仲間が
よってきて彼を追いかけてくる

彼は驚いて、せいぜい走って
駅に駆け込む。

ホームに立って電車を待っていると
やはりどこからか数匹のネズミが
近づいてきて、しかも
そのうちの一匹が
彼のスボンを
駆け上がってくる

懸命に追い払って
電車に飛び乗ると
いくらかホットするが

なんとしぶとい一匹が
彼のベルトに
食らいついているのに気付き
あわててコートで隠す

42番街に着くと
またしても
どこからかネズミが
近づいてくる。

そばを歩いていた女性が
悲鳴をあげる

しつこいネズミの追跡に
とほうにくれた思いになっていると

何か大きな音が通りの
向こう側から響いてくるのに気付く


それは川岸のほう全体から
聞えてくるバリバリという
恐ろしい物音で

驚いて立ちすくんでいる間にも
ますます大きくなってくる

やがてガラスがけたたましく割れる音
鉄骨の捻じ曲がる音などが
入り混じって騒然とした状況になる

一人の少年がきちがいのように
走りながら叫んでいる

「軍艦だ!」

確かにそのとおりだった。
周囲の建造物をなぎ倒し
一隻の巨大な軍艦が
濡れたその船腹に日光がきらめかせ
長い大砲をつきだして

彼の方に向かって
通りを突き進んでくるのだった


男はたまらず、
ベルトを放り出した

スボンが下がってしまったが、
それも脱ぎ捨てて
下着のままで
近くの洋品店に飛び込んだ

店員が彼の様子を見て
声をかけてくる

「美女がおいり用ですかな?」


「ねずみ色のベルト」(E・B・ホワイト)-アメリカほら話(筑摩書房)



月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 10
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「ねずみ色のベルトはねずみを引き寄せる」−「ねずみ色のベルト」(E・B・ホワイト) 人生は999ラウンド/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる